心地よい住まいについて考える
住居もカスタマイズする時代
2011年にブルースタジオに出会い、東京R不動産に出会い、2014年以降に居住した大阪ではArts&Craftsに出会い、
大阪R不動産とArts&Craftsが事業提携していると知った時は、理にかなっているなあと思いました。
古いものに価値を置きながら、その存在感に敬意を払いながらリノベーションしていく姿勢は、
なんと言えば良いんでしょう、うまく言えないのですが、とてもかっこいいと思ったのです。
もちろんArts&Craftsなんかは、作ったものがかっこいいからこそ、その価値観もかっこよく思えたのでしょうが、
ことR不動産においては、古いものを古いだけで片付けず、
そこに価値を見出して読み解いていく価値観が素敵だと思いました。
そして自分にとっては味気のない新品の壁紙や床の家の賃料が高くて、味のある、そして選択肢も多いこれらの物件の不動産価格や賃料が安いとなると、お気に入りの古い物件に安く住むことや中古物件を買ってリノベーションすることは、すぐに世の中を席巻すると思ったのです。
予想に反して広がらない中古+リノベ
しかし予想に反して、リノベーションは思ったほどの広がりを見せませんでした。もちろん昔に比べれば、中古物件をリノベーションする手法はだいぶ広まったのでしょうが、予想した速さには程遠いものでした。
それよりも、タワーマンションの方が圧倒的に増えたように思います。供給側の供給の手間に対するリターンが大きかったと思いますし、需要も多かったのでしょう。
いくら構造計算しているとはいえ、自分としては大地震の起きる日本でタワマンに住む強いメリットを見出せなかったし、大規模修繕はどうするのだろう、高すぎて修繕で人が死ぬのではないかと、余計な心配までしてしまいます。
いずれにせよ、高い修繕費がかかることは容易に想像できます。
しかし自分が遅ればせながら二人の子供を持って、世話をする必要に駆られた時、好みの味のある物件よりも清潔、掃除のしやすさ、管理のしやすさを優先した新品のものの価値というものもわかるようになりました。
もちろんリノベーションすれば古くても水回りは新品に(しかも自分好みの)できますし、家事動線までこだわって作ることができます。しかし個人側にかかるその労力や時間のかかり方を考えると、お仕着せの新品の家に手が伸びてしまうのも、十分理解できるのです。
リノベーション会社もそこのところはわかっていて、一から組み立てるリノベーションではなく、ある程度パッケージ化して、会社の負担も利用者側の負担も減らし、料金もリーズナブルにするなど工夫しているところもあります。
また、不動産購入からリノベーションまでワンストップでやったり、わかりずらいリノベーション時のローンなども指南したりして、できるだけ中古+リノベーションの利用者側の負担を減らそうとしていると思います。
ただ、中古の物件も綺麗にするだけのリフォームをしてコストを乗せた値段で売り出したり、そもそもの値段が上がってきてしまい、物件によっては強いモチベーションが働かないケースも増えてきたような気がしています。
コロナ禍で不動産は上がり続けている
コロナによる世界的な、そして急速な金融緩和により、世の中にお金が溢れ、世界的にインフレが起こっています。
コロナ禍で飲食店が厳しい状況が伝えられてきましたが、世界的には、アメリカでもヨーロッパの国々でも、
歴史的なインフレーションが起こっているのです。そしてウクライナ侵攻により、状況はさらに複雑化しています。
東京オリンピック以降、東京の不動産は下がると言われてきましたが、全く予想に反して、上がり続けています。
それもそのはず、コロナが起こることを誰も予想できませんでしたし、各国がこれほど急速に、強力に金融緩和を推し進めるとも予想できませんでした。
これからさらに上がり続けるのか、どこかで暴落するのかもわかりませんが、インフレを予想して現金を手放そうと不動産を買い求める富裕層はまだまだいることでしょう。
コロナ禍で不動産が下がったのは、ローンが払えない人の物件が出回ったほんのひとときだけでした。一方では収入が減りローンに手が回らず物件を手放しているのに、他方ではインフレに備えて上がり続ける不動産を買っているのです。
住むことに特化して考える
ただ、本当に自分に必要な住まいとは何かと考えてみると、必要なものはそれほど多くありません。
寝心地のいいベッド、心地よい広さのリビング、使い勝手の良いキッチン、ある程度収納力のある玄関、等々。
そして駅からほどほどの距離で、子供たちの通う学校からほどほどの距離で、日用品を買う店からほどほどの距離で、
ほどほどの家賃で住めれば良いのです。
もし物件を購入するなら、多額の住宅ローンを組むことになりますから、やはり出口戦略は考えたいところです。
魅力的な物件に出会えば、そんなもの吹き飛んでしまうかもしれませんが(笑)
払う金額を考えれば、本当ならそこは外せないはずです。
でも賃貸で住む場合は、もう少し自由に、自分の心地よいを優先していいのではないでしょうか。
そして心地よいの中には、持続可能な家賃、というものも含まれるのです。
持続可能な家賃で、そこそこ古いけど広い家。そんな選択肢を増やしたいのです。